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終末期医療と自己決定権
N1medical ethics
医療技術の進歩によって延命が可能になった一方で、終末期医療のあり方については改めて問い直さずにはすまない状況が生まれている。患者本人の意思を無視して延命治療を続けることは、医療者としてあるまじき行為だと批判する声も少なくない。しかし、本人の意思が確認できない場合、家族や医療者は極めて重い判断を迫られることになる。自己決定権の尊重は現代医療倫理の根幹をなす原則であるが、その適用には慎重な検討を要する場面も多い。事前指示書の作成を推進する動きが広がっているものの、実際に活用されている割合はいまだ低い水準にとどまっている。終末期における意思決定は、医学的判断のみならず、家族関係や宗教観、死生観といった多様な要素が複雑に絡み合う問題である。患者が尊厳を保ちながら最期を迎えられる社会を実現するためには、医療者と社会全体の意識改革が不可欠であろう。