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民主主義論における熟議の役割
N1民主主義論
近年、単なる多数決によらず、市民が討議を重ねることをもって政治的決定の正統性を確保しようとする「熟議民主主義」という理念が注目を集めている。この理念によれば、選好は固定されたものではなく、他者との対話を通じて変容しうるものである。市民が互いの立場を理解しようと努めればこそ、分断された社会においても合意の可能性が開かれると考えられている。しかし、現実の熟議の場ともなると、発言力の差や情報の非対称性が障害となり、理想通りに機能しない場合も少なくない。それでも、熟議のプロセスをおいて、分極化した社会における対立を緩和する有効な手段は見出しがたいというのが大方の見解である。市民の政治的成熟を促す教育環境の整備も、また同時に求められている。