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美学における崇高の概念

N1

美学

美学において「美」と並んで重要な概念が「崇高」にほかならない。カントによれば、崇高とは、人間の想像力では捉えきれないほど巨大なもの、あるいは圧倒的な力を持つものに直面したときに生じる、恐怖と快が入り混じった複雑な感情である。荒れ狂う大海原や聳え立つ山岳を前にした人間は、自身の卑小さを痛感するものの、同時に、そうした対象を概念として思考しうる理性の能力に気づき、一種の高揚感を覚える。この逆説的な感情構造は、単純な「美」の経験とは一線を画するものであり、近代美学の中心的な主題の一つでありつづけた。現代の芸術においても、テクノロジーがもたらす圧倒的なスケールの体験を前にして、私たちが崇高に似た感覚を覚えることは想像にかたくない。