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政治哲学における正義の概念
N1政治哲学
ロールズが提示した「無知のヴェール」という思考実験は、正義の原理を導出する方法として、政治哲学の分野に新たな地平を切り開いたと言えないものでもない。もし私たちが、自分の社会的地位や才能、生まれつきの境遇を一切知らない「原初状態」に置かれたならば、いかなる社会制度を選択するだろうか。ロールズからすると、合理的な人間は、最悪の境遇に置かれる可能性を考慮し、最も不遇な人々の利益を最大化する制度をおいて選択の余地はないという。この「格差原理」は、平等と自由の両立を目指す画期的な提案であったものの、リバタリアンの立場からは、個人の自由な経済活動を過度に制約するとの批判も根強い。この論争は、正義とは何かという問いに単一の答えが存在しないことを、改めて私たちに突きつけていると言えよう。