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人権思想の哲学的基盤

N1

Philosophy of human rights

人権という概念は、近代西洋の啓蒙思想を抜きにして語るべからざるものである。自然権思想は、人間が生まれながらにして不可侵の権利を有するという前提に立脚しており、この思想なくして現代の人権宣言は成立し得なかったと言っても過言ではない。しかしながら、人権の普遍性を主張する論者がいる一方で、文化相対主義の立場からこれに異を唱える者も少なくない。すなわち、ある文化においては当然視される規範が、別の文化においては人権侵害とみなされることもあり得るのである。哲学者たちは、こうした対立をものともせず、普遍的妥当性を有する人権概念の構築を目指して議論を重ねてきた。国家権力の濫用を防がんがための制度設計もまた、人権思想と不可分の関係にある。一片たりとも疎かにできないのが、少数者の権利保障という課題である。多数派の意向をよそに少数者の権利が踏みにじられる事態は、看過するわけにはいかない。人権思想の担い手たるもの、常に自己の特権性を省みる姿勢が求められよう。グローバル化が進んだ今日ともなると、人権問題は一国家の枠を超えた国際的課題として扱われるようになった。実定法の限界を補うのは、こうした哲学的基盤にほかならない。人権の理念が単なる理想論に終わらぬためには、実効性を担保する制度をもって裏打ちされねばならない。人権思想の今後の展開は、我々一人ひとりの倫理的成熟如何にかかっていると言えよう。