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食料主権と農業政策の転換

N1

Food Sovereignty

食料主権とは、各国民が自らの食料・農業政策を自主的に決定する権利を指す概念であり、貿易自由化を至上命題とする従来の農業政策とは一線を画すものである。グローバルな食料市場への依存が深まるにつれ、輸出国の不作や紛争が瞬く間に輸入国の食卓を直撃するという脆弱性が露呈してきた。こうした事態を目の当たりにすると、自給率の向上を軽視してきた政策の是非を問わずにはいられない。もっとも、自由貿易には価格の安定や消費者利益といった恩恵もあり、保護主義的な政策への単純な回帰が望ましいとは言い切れない。食料主権を主張する論者からすると、小規模農家の生計や在来種の保全といった価値は、市場効率性のみでは測りきれないという。政府には、輸入依存によるリスクを直視し、地域の実情に即した農業政策を構築することが求められよう。食の安全保障は、もはや一国の農業政策の枠内にとどめておくべき課題ではなくなりつつある。