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ポストコロニアル研究と言語の権力性

N1

Postcolonial Studies

ポストコロニアル研究は、植民地支配が終焉を迎えた後もなお残存する権力構造を批判的に検討する学問領域である。とりわけ言語の問題は、この分野において避けて通れない論点をなす。旧宗主国の言語を公用語として採用せざるを得なかった旧植民地諸国の事情からすると、言語選択それ自体が政治的な権力関係の産物にほかならない。作家グギ・ワ・ジオンゴが母語での創作に転じたことは、宗主国言語による文学的支配からの脱却を試みた象徴的な事例として知られる。もっとも、旧宗主国の言語を放棄することが、必ずしも解放を意味するわけではない。多民族国家においては、共通言語としての旧宗主国語が、かえって国民統合に資する場合もあり得るからである。この点に鑑みれば、言語をめぐる問題は単純な善悪の図式に還元できるものではない。ポストコロニアル研究者に求められるのは、支配と抵抗という二項対立を超えて、言語がはらむ複雑な権力性を丹念に読み解く姿勢であろう。