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民族音楽学におけるフィールドワークの倫理

N1

Ethnomusicology

民族音楽学は、西洋芸術音楽の枠組みにとらわれず、世界各地の音楽文化をその土地の文脈に即して研究する学問である。研究の根幹をなすのはフィールドワークであり、研究者は対象となる共同体に長期間身を置き、生きた音楽実践を観察することを求められる。もっとも、外部の研究者が異文化の音楽を記録・分析するという営みは、時にオリエンタリズム的なまなざしを免れないという批判を受けてきた。かつての民族音楽学者の中には、現地の人々を単なる研究対象として扱い、その知的貢献に見合った敬意を払わなかった者もいたことは否定しがたい。こうした反省を踏まえ、近年では研究対象となる共同体との協働作業、いわゆる参加型調査を重視する潮流が広がっている。録音物や記録の権利をめぐっても、研究者のみが利益を独占する体制はもはや許されるべくもない。フィールドワークを行う者は、学術的貢献と倫理的配慮とを両立させる責務から逃れることはできないのである。