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保全生物学における生態系サービス

N1

Conservation Biology

保全生物学は、生物多様性の減少に歯止めをかけるべく、生態系の保全と持続可能な利用のあり方を探究する応用科学である。近年注目を集める「生態系サービス」という概念は、森林や湿地といった生態系が人間社会にもたらす便益を経済的価値に即して可視化しようとする試みにほかならない。水源涵養や炭素固定といった機能を貨幣価値に換算することで、開発の是非を検討する際の判断材料を提供し得るという利点がある。もっとも、あらゆる生態系の価値を経済的指標に還元してしまうことには、生物多様性それ自体が持つ内在的価値を軽視しかねないという批判が付きまとう。生態系サービスという発想からすれば説明のつかない、種の多様性そのものへの敬意を欠いた保全策は、長期的には破綻を余儀なくされるだろう。開発と保全の間で揺れる政策決定者からすると、経済的合理性と生態学的知見の双方を踏まえた総合的判断が不可欠となる。人類は、生態系という土台の上に文明を築いてきたことを、今一度想起せずにはいられない。