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知的財産権と伝統的知識の保護

N1

Intellectual Property

現行の知的財産権制度は、個人あるいは法人による発明や創作を保護することを主眼として構築されてきた。しかし先住民族が世代を超えて蓄積してきた薬草の知識や農法といった伝統的知識は、特定の個人に帰属するものではなく、共同体全体の所有に属するという点で、既存の制度とは根本的に性質を異にする。この齟齬に鑑みれば、伝統的知識を現行の特許制度にそのまま当てはめることには無理があると言わざるを得ない。実際、先住民族の同意を得ることなく彼らの知識を利用し、それを基に特許を取得する、いわゆるバイオパイラシーの事例が国際的な批判を浴びてきた。こうした事態を座視するべからず、多くの国際機関が伝統的知識の保護に向けた枠組みづくりに乗り出している。もっとも、共同体の権利をいかに法的に定義するかという技術的な難題は、いまだ解決を見ていない。知的財産権制度が本来的に個人主義的な発想に立脚している以上、共同体の権利を十全に保護するには、制度そのものの再設計が避けられないだろう。