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環境倫理学における世代間正義

N1

Environmental Ethics

環境倫理学における中心的な論点の一つに、いまだ生まれざる未来世代に対して、現世代はいかなる責任を負うのかという世代間正義の問題がある。未来世代は現在の意思決定に参加することができない以上、その利益は現世代の良心にのみ委ねられているというのが実情である。気候変動という問題を前にすると、現世代の消費行動が未来世代の生存基盤を脅かしていることは想像にかたくない。もっとも、いまだ存在しない者に対して権利を認めることが哲学的に可能かという点については、論者の間でも見解が分かれる。功利主義的な立場からすれば、未来世代の効用もまた道徳的計算に含めるべきであるという結論に至りやすいが、割引率をどう設定するかという技術的問題が常につきまとう。これに対し、義務論的な立場をとる論者は、権利の有無にかかわらず、現世代には未来世代への配慮を怠るまじき責務があると説く。いずれの立場をとるにせよ、資源の有限性を直視し、持続可能性を犠牲にした短期的利益の追求を慎むべきであるという結論に変わりはない。